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主な業績


N. Tamaki, S. Fujimoto-Sakata, M. Kikugawa, M. Kaneko, S. Onosaka and T. Takagi : Analysis of cyclic feed intake in rats fed on a zinc-deficient diet and the level of dihydropyrimidinase (EC 3.5.2.2). Brit. J. Nutr., 73, 711-722, 1995.

ラットを28日間亜鉛欠乏食で飼育し、体重と食餌摂取量を対照群と比較した。亜鉛欠乏群の食餌摂取量は対照群の2/3であった。亜鉛欠乏群の食餌摂取量は経日的にリズムを描く。大型コンピューターを用いコサイン分析した。平均食餌摂取量:10、1g/日、周期:3、5日、振幅:3、5g/日となった。体重変化量も食餌摂取量を反映して3、5日のリズムを描く。ピリミジン塩基分解の二番目の酵素ジヒドロピリミジナーゼは亜鉛酵素である。本酵素活性は亜鉛欠乏により減少するが食餌摂取リズムの位相との関係は認められない。

M. Kikugawa, M. Kaneko, S. Fujimoto-Sakata, M. Maeda, K. Kawasaki, T. Takagi and N. Tamaki : Purification, characterization and inhibition of dihydropyrimidinase from rat liver. Eur. J. Biochem., 219, 393-399, 1994.

ジヒドロピリミジナーゼはピリミジン塩基分解に関わる酵素の一つである。本酵素をラット肝臓から単一に精製した。分子量は 215 kDa 、四つの同一サブユニットからなる四量体酵素である。本酵素活性は生成物阻害を受ける。動力学的解析より、ピリミジン塩基分解の律速酵素になっている。本酵素はサブユニットあたり1分子の亜鉛を含み、活性発現に必須である。また、過剰の亜鉛は本酵素活性を阻害する。

Y. Konntani, M. Kaneko, M. Kikugawa, S. Fujimoto and N. Tamaki : Identity of D-3-aminoisobutyrate-pyruvate aminotransferase with alanine-glyoxylate aminotransferase 2. Biochim. Biophys. Acta, 1156, 161-166, 1993.

D-3-アミノイソ酪酸ーピルビン酸アミノ基転移酵素(EC 2.6.1.40; b-AlaAT II) とアラニンーグリオキシール酸アミノ基転移酵素 (EC 2.6.1.44; AGT 2) とは同一の酵素であることを証明した。精製過程を通して b-AlaAT II と AGT 2 の活性比は一定であること。互いの酵素は互いの基質の利用が可能なこと。b-AlaAT II に対する抗体は AGT 2 活性を阻害すること。b-AlaAT II に対する阻害剤が AGT 2 活性を阻害することから結論した。

S. Fujimoto Sakata, L. L. Shelly, S. Ruppert, G. Gunther and J. Y. Chou : Cloning and expression of murine S-adenosylmethionine synthetase. J. Biol. Chem., 268, 13978-13986, 1993.

坂田成子が米国NIHに留学した際の成果である。マウス肝臓型S−アデノシルメチオニン合成酵素cDNAをクローニングした。本酵素はメチル基やイオウを転移する為の基質、アデノシルメチオニンを合成する重要な酵素である。 本酵素 mRNA の塩基配列及びそれに基ずくアミノ酸配列を決定すると共に遺伝子発現機構を解明した。

L. L. Shelly, K.-J. Lei, C.-J. Pan, S. Fujimoto-Sakata, S. Ruppert, G. Schutz and J. Y. Chou : Isolation of the gene for murine glucose-6-phosphatase, the encyme deficient in glycogen strorage disease type 1A. J. Biol. Chem., 268, 21482-21485, 1993.

坂田成子が米国NIHに留学した際の成果である。マウス肝臓型グルコース−6−ホスファターゼcDNAをクローニングした。本酵素は糖新生やグリコーゲン分解の最終段階を司る酵素であり、体内のグルコース量の調節に重要な役割を担っている。本酵素はリソゾームに局在し、不安定なことから単一に精製することは困難であった。遺伝子操作手技を用い一次構造を決定すると共に酵素蛋白を発現させることにより単一酵素を得、動力学的な性質を明かにした。

M. Kaneko, Y. Kontani, M. Kikugawa and N. Tamaki : Inhibition of D-3-aminoisobutyrate-pyruvate aminotransferase by 5-fluororucil and a-fluoro-b-alanine. Biochim. Biophys. Acta, 1122, 45-79, 1992.

5−フルオロウラシル(5−FU)は消化器癌、子宮癌、乳癌等の固形癌に広く用いられる抗癌剤である。食欲不振、脱毛等5−FUによる強い副作用が報告されているが原因については不明である。また、5−FUとソルブジンの併用による死亡事故は記憶に新しい。投与された5−FUは a−フルオロ−b−アラニンに分解され尿中に排泄される。5−FUや a−フルオロ−b−アラニンは D−3−アミノイソ酪酸ーピルビン酸合成酵素を強く阻害し、b−アラニンや b−アミノイソ酪酸の分解を阻害する。

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