腎臓6.腎小体の構造を示す模式図.

腎小体は直径200~300μmの球状の構造物で、輸入動脈が枝分かれして作る

糸玉状の毛細血管の集団(血管糸球)と、これを包む二重壁の球状の袋(糸球

体嚢)とからなる。輸入動脈は腎小体の一方の極において腎小体に入り、ほぼ

同じ場所から輸出血管が出る。この極を血管極といい、これの対向側の極から

は尿細管が始まるので、この極を尿管極という。輸入血管は腎小体に入ると直

ちに数本ないし十数本の毛細血管に分かれる。これらはそれぞれループを描い

て全体として血管糸球を作った後、再び1本に纏まって輸出動脈となって腎小

体を去る。血管糸球を構成する個々の毛細血管の外表面は、残るくまなく被蓋

細胞ないし「足細胞」と呼ばれる特殊な上皮細胞によって被われている。この

被蓋細胞は血管極において反転して糸球体嚢の内面を縁取る単層扁平上皮(糸

球体嚢上皮)に移行する。糸球体嚢上皮と被蓋細胞は、それぞれ糸球体嚢の外

板と内板に相当し、両者の間には狭い腔が存在する。これを糸球体腔またはボ

ウマン腔という。血液は毛細血管の中を流れる間に、毛細血管の内皮細胞にあ

いている小孔と、その外側に接している被蓋細胞の突起が作る濾過細隙によっ

て限外濾過されて、その液体成分の大半が原尿としてボウマン腔に出る。------

糸球体嚢上皮は尿管極において突然、尿細管主部の丈の高い単層円柱上皮に移

行する。輸入血管は、内膜・中膜・外膜をそなえた細動脈であるが、中膜の平

滑筋細胞は血管極に近づくと、明るい胞体の中に円形の核を持った細胞に変わ

  る。これは旁糸球体細胞と呼ばれ、レニンを分泌する一種の内分泌細胞である。

輸出血管は平滑筋の乏しい壁の薄い血管で、腎小体を去ると直ちに毛細血管と

なって、尿細管の周囲を密に取り巻く。髄質から上昇してきたヘンレのループ

の太い部分は、自分の出発した腎小体の輸入血管、特に旁糸球体細胞が存在す

る部分に接触した後、緩やかに迂曲する介在部となる。この部分では輸入血管

に接触する側の上皮細胞の丈が高くなり、核が密集して見えるので、この部分

を特に緻密斑という。---------------------------------------------------------------------

 

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