以前、大阪あべの辻調理師専門学校の講師をしていたころから、「栄養学的に良い食事」と「美味しい食事」が一緒になればなんてすばらしい食事になるだろう・・・などと考えていました。近年の栄養学研究の発展により、いろいろな栄養素が健康につながることがわかってきました。しかし、すべての人に効果があるわけでもないこと、また、食品として摂取すると効果があるのに、栄養素として解析すると効果が出てこないものなどがあることが、近年の栄養疫学研究によりわかってきているのも事実です。つまり、「食」そのものの大切さが見直されていると思います。
私自身も管理栄養士の一人として、ほんとうの健康をもたらす食とはどのようなものだろうかと考えました。私なりに考えた結論が以下の図です。「食」は「栄養」を介して健康をもたらし、「脳」による感情が「こころ」を豊かにして健康をもたらし、さらに、「美味しいもの」から「楽しさ」が生まれ「健康」をもたらします。このように「健康」を大きく支える3本柱があり、さらに、それら3つもそれぞれ深く関与しあっているものと考えます。
このような考えのもと、京都大学で学位取得後に向かったのが理化学研究所脳科学総合研究センターであり、神経科学の研究に打ち込みました。もちろん、私自身では複雑な脳のメカニズムの一部も解決できないわけですが、健康を支える「こころ」の重要性はよくわかりました。
また、「食」「味」「こころ」はどれもその場の環境や「美味しいよ!」などという情報によって大きく動かされます。つまり、健康を左右するものとして「環境」や「情報」もあげられると思います。
私は研究のテーマとして、「健康」を大きくとらえる「人間栄養学」をかかげます。そして、以上のようなことを解明するために「栄養情報解析」「分子栄養疫学」「栄養脳科学解析」の3つのサブテーマを追求しようと動きだしました。また、栄養研究の成果を実際に美味しく食するために、研究成果を応用した料理やレシピを考案していきます。さらに、研究成果を地域や世界の方々に還元できるよう情報発信にも努めていきます。
このような活動に興味を持っていただける方、学生も社会人の方もお越し下さい。お待ちしております。
野口孝則のキーワード:
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